保険業界について ~生命保険編~

生命保険業界は安定した収入や福利厚生の魅力から就活生に人気があります。また、生命保険業界は金融業界の一部として、人々の日常生活を支える重要な役割を担っていることから社会的な意義も高いです。
今回は、保険業界の中でも人気の生命保険業界について解説していきます。
【生命保険の基礎知識】
生命保険の基礎知識を身につけておくことは業界を理解するうえで必要になってきます。生命保険とはどのようなものなのかということについて簡単に解説します。
①生命保険とは
生命保険とは、大勢の加入者が生命保険会社へ保険料を支払い、あらかじめ公平に保険料を負担しあうことで、病気や事故、ケガなどの万が一の時に給付を受ける仕組みです。また、子供の教育費や老後の資金など、将来のために備えておく手段としても利用することができ、自分自身や家族を守る生活保障の仕組みであるとも言えます。
生命保険は、一人では貯蓄することのできるお金の量に限界があるため、大勢の人がお金を出し合って必要なときに助け合うという「相互扶助」の仕組みで成り立っています。
②生命保険の基本形
-
死亡保険
被保険者が病気や事故などにより死亡した場合に、保険金が支払われる生命保険です。この中でも2種類あり、一定の期間の死亡を保障する「定期保険」と、被保険者の生涯にわたって死亡の保障がある「終身保険」があります。
-
生存保険
被保険者が契約してから満期まで生存していた場合に保険金が支払われる生命保険です。
-
生死混合保険
①と②を組み合わせたもので、一定期間中に被保険者が死亡や高度障がい状態になった場合は死亡保険金が支払われ、満期まで被保険者が生存していた場合は生存保険金が支払われます。代表的なものとしては「養老保険」です。
これらの基本形が単独か組み合わさることで生命保険はできています。
③ニーズから選ぶ種類
生命保険には種類が多くありますが、自分の必要に応じて選ぶことができ、生命保険会社によって、保険の商品も異なるので、自分に合った保険会社をを選ぶようにしましょう。
・入院や手術に備える
→医療保険
・保障性の高い保険
→終身保険、定期保険
・貯蓄性の高い保険
→養老保険、個人年金保険
【生命保険業界の仕事内容】
生命保険というと「営業をする」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。ここでは、大きく3つに分けて、事務系の仕事も紹介していきます。
①営業
生命保険業界の営業の対象は3つあり、「個人営業部門」「法人営業部門」「代理店営業」です。
・個人営業部門:主に新規顧客獲得や保険加入者のアフターフォローを行います。お客様にヒアリングをした上で、ライフプランやニーズに適した商品を提案することが必要です。直接お客様と話して商品を提案するので、よりお客様の気持ちに寄り添った対応が求められます。
・法人営業部門:企業に対して団体保険や退職年金など、企業の福利厚生をサポートすることが主な仕事となっています。総務部門の福利厚生担当者から人事部の担当者など、複数の商談を重ね取引の成立に至ります。個人営業よりも、より幅広い知識やスキルが求められ、相手との信頼関係を築くことが重要になります。
・代理店営業:保険を直接お客様に販売する代理店に対して営業を行います。より多くのお客様に自社の商品を届けるために、代理店に営業活動を行うだけでなく、保険の売り方を代理店に指導することも仕事内容に含まれています。
②資産運用
生命保険会社は、お客様から保険料預かり長期にわたる契約を行うため、その資産を安全・安定的に運用し続けるという仕事も存在します。また、部門内でもさらに細かく分かれ、株式や融資、不動産など資金運用が行われ、常に変化し続ける国際情勢を的確に分析し、継続的に安定して収益を獲得しなければいけません。
③アンダーライティング
アンダーライティングとは、契約時に引き受けの判断やどのような条件、保険金額で引き受けるかを決めるなどの業務のことです。この部門は、契約を引き受ける際の審査と契約を成立させるまでの「新契約業務」や、保険契約内容をお客様のライフプランに応じて適正な状態にする「収納保全業務」などがあります。大事な事務処理を行いながら、契約内容を確実に管理し、支払いを正確に行う必要があります。また、お客様にとって手続きの利便性向上を図ることも重要であるため、確実に素早く処理をこなすとともに、お客様の声を取り入れながら改善を積み重ね、生産性を高めていくことが求められます。
【生命保険・損害保険の違い】
生命保険と損害保険の違いについて下記に解説していきます。
①保険の対象
生命保険と損害保険では対象が異なっています。生命保険の第一分野と呼ばれる「人の生死に関し一定額を支払う保険」です。死亡保険の他に病気やケガによる入院や通院の際に給付金が支払われる保険があります。生命保険は、死亡したり病気になった時に、被保険者やその家族の生活を保障するものになっています。
一方で、損害保険は第二分野と呼ばれる「一定の偶然の事故によって生じることのある損害を補てんする保険」です。その対象は幅広く、災害や地震、自動車事故、機械の故障など様々なリスクに対応しています。何かの損害が生じた際にその損失を補償するのが損害保険となっています。
②販売形態
生命保険と損害保険の大きな違いとして販売形態があります。生命保険は、営業職員がお客様に直接販売する他、インターネットや直営の店舗による販売、保険代理店など様々なチャネルが存在しています。
一方、損害保険は主に保険代理店が営業を行っています。損害保険会社の営業職員がお客様に対面で保険を提案することは少ないため、営業職員が主役である生命保険会社とは販売形態が異なっています。
③保険金の金額設定
また、保険金の金額設定も大きく異なります。生命保険では、一般的に加入者から定期的に長期間保険料を受け取り、加入者が死亡した場合にその家族に保険金を支払うという仕組みになっています。保険金の金額に合わせて月々支払う保険料が決まります。
一方で、損害保険ではあらかじめ補償の対象や範囲を設定し、一定期間内に偶発的な損害に対して、損害分のみを保険金の支払いで補償するという仕組みです。基本的に損害を被った後で、損失の金額分だけ支払われます。
【生命保険業界の動向】
生命保険業界が今後どのように変化をしていくのかについて紹介していきます。
①営業が対面とオンラインに
新型コロナウイルスの影響から、対面ではなくオンラインでの営業が増加しました。このオンライン営業の活動を組み合わせたことでコロナの影響で減少した売り上げがコロナ前の収入まで回復しつつあります。
また、電話やインターネットを利用した通信販売やお客様が立ち寄る来店型店舗など、世の中の情勢やお客様のニーズに合わせてチャネルが多様化してきています。
②海外保険事業の拡大
国内事業の安定的な成長も重要ですが、生命保険の普及が高まると見込まれる海外での事業拡大に力を入れている会社が多くあります。
特に、アジアの新興国では、経済成長に伴い国民の所得水準も向上しており、生命保険の普及率が高まると予測されています。資産運用事業においても積極的に海外に展開することで、多大な収益を獲得できています。
【まとめ】
今回は保険業界の中でも生命保険業界について紹介していきました。「営業」「きつい」というイメージから少しは変化したでしょうか。業界研究をしっかりとすることで選考の通過率をあげるESを書くことや面接の通過率を上げることに繋がります。生命保険業界を見ている方はぜひ参考にしてみてください。