エンタメ業界について

エンタメと聞くとなんとなく華やかな感じのイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。そこで今回は具多帝にどのような業界なのか、今後の動向や課題について解説していきます。
【目次】
・エンタメ業界とは
・エンタメ業界の現状
ー好調な事業
ー不調な事業
・エンタメ業界の課題
・エンタメ業界の将来性
・5つの魅力
・「やめとけ」と言われる理由
・まとめ
【エンタメ業界とは】
エンタメ業界はコンテンツやパフォーマンスを通じて人を楽しませることを目的とした業界です。テレビ、動画配信、ゲーム、舞台、イベントなど人を楽しませるコンテンツがエンタメ業界に含まれています。また、エンタメ業界はBtoCの業務であるため、お客様や消費者と関わることが非常に多く、やりがいを感じられるため就活生からも非常に人気の業界です。
【エンタメ業界の現状】
エンタメ業界全体の市場規模を解説します。2022年時点でコンテンツ市場規模(漫画やアニメ、ゲーム)は13兆1000億円と言われています。さらに、余暇関連市場規模とも合わせると62兆8230億円です。コロナ禍で落ち込みはしたものの現在では2019年に比べて8割以上の水準まで回復しました。回復に貢献しているのはNetflixやAmazon Prime videoなどの定額性動画配信サービスです。従来であれば映画館に行ったり、レンタルショップでDVDを借りたりしました。しかし、自宅にいながらエンタメを楽しめるようになりました。
<好調な事業>
1、アニメ業界
主な内容はアニメの制作や放送・配信、アニメに関連するグッズ制作と販売、イベント運営などです。
アニメ事業は2015年以降伸び続けている業界であり、今後も大きな成長が期待されています。なお、拡大傾向にあるのは日本だけではなく、海外にも同様の動きが見られています。
中でも市場の伸びを牽引するのは配信権の販売であり、海外の配信事業企業が高値で権利を買い付けていることで、成長につながっていることが特徴です。
2、玩具事業
玩具事業も好調な事業の1つで、市場規模は年々拡大しています。2023年には初の1兆円越えを記録しました。最大の要因として「ポケモンカード」などのトレカが伸びたことが挙げられます。現在のカードゲーム・トレーディングカード市場は2,774億円を突破し、全体の27.2%を占めています。さらに、「たまごっちシリーズ」などハイテク系トイも伸びたことも要因の1つです(2023年度には121.5%成長している)。キダルト層(キッズとアダルトを合わせた言葉)をターゲットにしたことが功を奏しました。
幅広い層に受け入れられたことで、少子化でも売上を伸ばしています。
3、動画配信事業
アニメ・ドラマ・映画などの動画作品の配信、動画共有プラットフォームの運営などを主に行います。コロナ禍の際に巣ごもり需要が増加して以降、動画配信サービスの利用率は現在も拡大し続けています。配信サービスが
より普及した昨今は、国内の過半数の人がサービスを利用しているともいわれていることが特徴です。
なお、国内では海外配信の配信サービスが一強となっていますが、近年では国内発のサービスも攻勢を見せています。しかしながら、需要が拡大しているとは言っても、コロナ禍の最中と比べると近年の成長率は鈍化傾向にあります。現在はサービスが乱立し、シェアの奪い合い激化の様相も見られます。
4、スポーツ事業
エンタメ業界におけるスポーツ事業は、いわゆるゲームをプレイして競い合う、Eスポーツに関連する事業に時に勢いがあります。
Eスポーツ事業は、近年徐々に広まりを見せ、大会・イベントが大きな盛り上がりを見せています。企業によっては若年層をターゲットとして新たに参入してくるケースもあります。顧客獲得の方法は、イベント・大会・上手な選手のプレイ動画のストリーム配信などです。プロスポーツもコロナ前を上回る勢いで大幅な回復を見せています。オリンピック開催・日本人選手の活躍など、顧客動員数を跳ねさせるきっかけがさまざまあったためと考えられます。
<不調な事業>
1、ゲーム事業
ゲーム事業では、ゲーム制作・配信・関連イベントの運営などを行います。近年は、海外大企業のゲーム事業への投資が大規模化しており、その影響を受けたことで、国内のゲーム事業は苦境に立たされています。以前より主流となっているスマホゲームは、競争激化により高品質化が進み、開発・マーケティングコストが増大していることも影響しているでしょう。そのため、大手企業もゲーム事業の不振に頭を悩ませており、盛り上がっていた時期と比べて100%近く売上を落としているケースも見られます。
2、出版事業
書籍や雑誌などの編集・出版・販売などを行います。出版事業はどの企業でも以前からマイナス成長を続けており、その波は現在も止まることはありません。紙の出版物は2024年に1兆円割れが確実とされており、もともとあったマーケットは、すっかり電子出版に取って代わられています。なお、書籍や雑誌の電子版市場では、電子コミックの占有率が9割以上を占めていることが特徴です。勢いは常にある状態で、毎年前年越えを記録していますが、近年はその中でも、やや緩やかな伸びに変化しつつあります。
3、放送事業
放送事業も不調の一途をたどっています。主な原因としては、NetflixやAmazon Prime Videoなどの定額制動画配信サービスの登場です。それぞれの媒体でしか見られない番組やTVで放送されない企画があります。そのため、TVでは物足りないと感じた視聴者が動画配信サービスに流れました。さらに、2021年にはマスコミ4媒体の広告費がインターネット広告費を下回りました。放送事業が厳しい現状にあることを覚えておきましょう。
【エンタメ業界の課題】
エンタメ業界には魅力だけではなくさまざまな課題があるため、将来エンタメ事業に従事する可能性を加味し、どのような点が課題になるのか整理することが大切です。
主な課題として「外部プラットフォームへの依存体質です。現在多くのコンテンツプロバイダーや制作会社はYouTube、 Netflix、 Amazonなどの外部プラットフォームを通じてユーザーにコンテンツ提供をしています。この構造は、コンテンツの広範囲な視聴者にリーチできるというメリットがある一方で、手数料や広告収益の一部をプラットフォーム側に支払う必要があり、利益率が圧迫されるという問題があります。
そこで、自社プラットフォームの整備や既存ビジネスモデルの変革が求められます。
【エンタメ業界の将来性】
・国家戦略のひとつ「クールジャパン戦略」
→クールジャパン戦略とは、アニメや漫画、ゲームなどのコンテンツを使って世界に日本の魅力を知ってもらい、共感を得るための取り組みです。単純に発信するだけではなく、海外展開やインバウンド振興により、日本の経済成長を図る目的があります。しかし、目的である共感の獲得が共有されていないという課題もあります。経済的利益が目的になってしまい、日本の魅力の本質を深堀り、理解できていないことが多いようです。
また、日本人は職人気質な傾向にあり、消費者ニーズよりも作り手がいいと思ったものが売れるという考えを持っているため、世界視点を意識できていないことも課題になっています。
・デジタル関連コンテンツにも期待
→ライブ・イベント事業では一般的なライブに加えて、オンラインのライブビューイングやライブ配信が急速に進化し、今後も拡大していくと予想されます。一般的なライブに加えて、オンラインのライブビューイングやライブ配信が急速に進化し、今後も拡大していくと予想されています。これにより、場所や時間に制約されない新しい形態のライブ体験が提供されるようになり、ファン層の拡大が期待されています。
【5つの魅力】
エンタメ業界で働くと感じられるやりがいは業種によって違います。しかし、共通しているポイントもあるので実際に働いている人がどのようなやりがいを感じているのかを紹介していきます。
1、新しいことにチャレンジできる
エンタメ業界は環境の変化が激しいため、新しいことにチャレンジできるということにやりがいを感じている人は少なくありません。また、人の感情が関係する業界のため、同じことを繰り返しているだけで飽きられてしまいます。なので、常に新しいアイディアや企画を考えなければならないことが大変なのと同時に一つのモチベーション維持になっているようです。
2、手がけた作品が認められる
ゼロから作り上げた作品が売れたり、高い評価が得られたりすることに嬉しさや仕事の楽しさが感じられます。直接、作品の制作に携わっていないという場合も、徐々に認められていく過程を実感できるのはエンタメ業界の醍醐味でもあります。
3、感度を与えることができる
人々に感動を与え、心を動かすことができた時にやりがいを感じるという人も多いです。裏方の仕事は直接声を聞く機会があまりないですが、今ではSNSを通じて感想を知ることができます。「感動した」などというポジティブな投稿を見ると自分の心も満たされるでしょう。
4、イベントをやり終えた時の達成感がある
作品が完成した時のやお客様の喜ぶ顔が見えた時、イベントが成功した時など様々な部分で達成感が得られます。どの場面も緊張感があり、トラブルが起きることも少なくありませんが、最後までやり遂げたという達成感には大きなやりがいを感じられるでしょう。
5、個性的で魅力ある人たちと仕事ができる
エンタメ業界に集まる人は個性的で魅力のある人たちばかりのため、多くの刺激を受けます。また、それぞれの個性を大切にしながら一緒に仕事をしていくため、人間関係で鍛えられ、成長も感じられます。
【「やめとけ」と言われる理由】
エンタメ業界は華やかに見える一方で苦労する部分も多くあります。よい面しか見ていないと就職した後に後悔してしまうことになります。そうならないために、事前にマイナス面について知り、検討したうえで就職することが大切です。
1、労働環境が悪い
業界の傾向として、労働環境が長いことが挙げられます。芸術・芸能分野での長時間労働は一般化しており、過労死ラインと言われる残業時間が60時間以上のスタッフは35%以上です。大きなイベントや企画が近くなるほど残業が増えていきます。また、仕事の性質上休みが不規則になりがちです。他にも土日や祝日にイベントがあれば、出勤する必要があります。その結果、休日がバラバラになります。場合によっては休日出勤もあります。
人手不足による、スケジュールの変更が突然起こるからです。一般的な業界や企業と比較して、労働環境が悪い傾向にあるということを理解しておきましょう。
2、上下関係が厳しい
エンタメ業界の中でも特に芸能・音楽・映画・映像制作業界は上下関係が厳しいと言われています。そのため、業界に長く在籍している人の声が大きくなる傾向にあります。言葉遣いやマナーなどを意識して身につけておく必要があるでしょう。また、体育会系の気質があります。最初のうちは意見が通らず、先輩の指示通りに動くため、不満を感じる人が多いでしょう。勤続年数が重要になるため、最初の数年は厳しい環境で働くことになる可能性があります。実力だけが評価される業界ではないため、注意が必要です。
3、就職が難しい
働き方のしんどさとは異なりますが、就活の時点で厳しいと言われています。採用枠が限られているのに対して、認知度の高さから多くの学生が応募します。その結果、採用倍率が高くなるからです。エンタメ業界全体で人手不足ですが、企業に多くの就活生を採用する体力がありません。また、経験や知識が必要な業界なので、教育に割くリソース節約のために最小限の人員しか応募を出せない傾向にあります。そのため、エンタメ業界は就職が難しいと言われています。
【まとめ】
エンタメ業界についての課題から将来性、魅力などについてご紹介しました。皆さんが思い描いていたエンタメ業界の感じとは「違ったな」と感じた人もいれば、「やっぱりこんな感じなんだ」と再認識された方など様々だと思います。
ぜひ、エンタメ業界を見ている方はこのような傾向やリスクがあるということも理解しながら業界についてみてみてください。