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日本の就活において既卒は不利?

就活をしているなかで内定をもらえなかった人や、内定をもらえたがその後の内定者期間の中でミスマッチを感じてしまい内定を辞退し、そのまま卒業をしてしまった方もいるのではないでしょうか。ここで立ちはだかるのが「既卒」という問題です。世間では「既卒になったら就活は厳しい」という声もあることから、「既卒」になってしまうことに不安を感じている方も多いでしょう。焦りから入社するか迷っても既卒になることを避けるために「一旦入社して転職をしよう」と考えている方もいるのではないでしょうか。

今回は、厳しいと言われている既卒就活の実際の状況やその背景について紹介していきます。


【既卒就活の実態】

就活がどの程度厳しいのかというのは、就活を行った就活生の内定保有率を見ることで客観的に把握することができます。

※出典1:株式会社マイナビ「2023年度 マイナビ既卒の就職活動に関する調査」                                       ※ 出典2:厚生労働省「令和6年3月大学等卒業者の就職状況」

内定を得た学生がサイトを利用しなくなっている可能性も考えられますが、既卒と新卒では内定率にかなり開きがあることがわかります。このような既卒の就活が厳しいという状況があることから厚生労働省は2010年より「青少年雇用機会確保指針」を公表しています。青少年雇用機会確保指針とは、卒業後3年以内の既卒を新卒と同じ扱いで採用活動を行うように企業に要請する政府の方針です。これによって、年々既卒の内定保有率は上がりつつありますが、やはり現状は厳しいと言えます。

【既卒就活が厳しいと言われている背景】

既卒就活が厳しいとされているのは「新卒より応募できる企業が少ない」「中途採用では社会人経験がない分不利になりやすい」という背景が考えられます。

既卒の就活が厳しいと言われるのは、既卒が就活する際には新卒や第二新卒といった強力なライバル達と競わなければならないことにあります。新卒や第二新卒と比較される既卒は、どうしても就活が厳しくなってしまう傾向にあります。順番に解説していきます。

1、新卒より応募できる企業が少ない

厳しいとされる既卒就活の背景として、そもそも既卒は新卒より応募できる企業が少ないことが挙げられます。前述でも紹介しましたが、3年以内に学校を卒業し、かつ正社員としての就業経験がない既卒も「青少年雇用機会確保方針」によって新卒と同じ扱いとなります。しかし、全ての企業がその方針を採用しているわけではなく、採用していない企業が多いのが現実です。

このような背景から、既卒が応募できるのは「既卒OK」「既卒歓迎」といった条件が表記された求人のみに限定されます。そのため、幅広く企業に応募できる新卒と比べると応募できる企業はどうしても少なくなってしまいます。

2、中途採用では社会人経験がない分不利になりやすい

既卒で就活をする場合は、新卒採用以外にも中途採用で就活することも可能です。中途採用では第二新卒や他のスキルをもった中途の人に比べて社会人経験がないことは不利になりやすいことも、既卒の就活を厳しくしている背景として挙げられます。また、中途採用では社会人経験やスキルが重視される傾向が強くあります。そのため、1から研修を行って新卒と同じように教育していかなければならない既卒よりも、一定の知識を身に付けている第二新卒の方が育てやすいと考える企業も存在します。

このような背景から、既卒と第二新卒では中途採用という枠組みで競い合った場合に、既卒が選考で不利になりやすいと考えられます。


【企業が抱きがちな既卒へのマイナスイメージ】

就活が厳しい背景の中には、上記のような既卒に対するマイナスイメージも影響していると考えられます。

1、本人に何か問題があるのではないか

既卒就活者が在学中に就職が決まらなかった理由はさまざまですが、その原因が本人にあるのではと厳しく見られてしまうことがあります。

中途採用とは違い、新卒採用はスキルや経験ではなく、ポテンシャル採用を行っています。その新卒採用がうまくいかなかったということは、「人物面や働く姿勢に何か問題があるのでは」という風に捉えられてしまうことがあります。履歴書では経歴では推し量れない、目に見えない部分なので、企業側も「何かあるのでは」と懸念を抱いてしまうことも。

2、行動力や分析力に欠けるのではないか

日本では大学在学中に就職活動を行い、就職先を決めることがほとんどです。なので、企業側からすると「行動力」「分析力」が足りず、就活が成功しなかったのではないかと考えてしまうこともあります。

3、働く意欲が低いのではないか

既卒者の方全員ではないですが「そもそも学生時代に就職活動をしていなかった」という人も一定数います。そのため、既卒者というと「働く意欲が低いのでは?」というイメージを抱かれる場合があります。スタートが遅れても「働く意欲」があれば、在学中に就職活動を開始することはできます。それでも就職の経験がないということは「働く気がない人」と見なされてしまう場合もあります。


【厳しいからといって諦める必要はない】

実際に既卒で希望の就職先を見つけている人もたくさんいます。近年では既卒の就活環境も徐々に変化していきます。心配しすぎなくても大丈夫な理由がいくつかあります。


・既卒を積極的に採用する企業が増えている

2010年の「青少年雇用機会確保指針」で既卒も新卒枠で採用ができるようになったことが普及し、既卒者を採用する企業が増えてきています。新卒枠で既卒者が応募可能な枠は全体の68%に上り、これまで既卒採用に消極的だった企業も既卒採用ヘの姿勢の変化がみられるようになってきています。


・国が「3年以内は新卒枠」を推奨している

「青少年雇用機会確保指針」だけではなく、国が既卒者採用を促進している施策には「特定求職者雇用開発助成金(3年以内既卒者等採用定着コース)」もあります。これは、新卒採用枠で既卒者の募集・採用をおこなった企業に対して、奨励金が支給されるという制度です。企業はこの奨励金制度を活用できるだけではなく、既卒者を採用することで人手不足の解消にも役立てられることから、既卒者を積極的に採用する企業は今後増えていくことも考えられます。


【まとめ】

既卒は企業からのマイナスイメージなどから厳しいと言われていますが、近年では既卒者を新卒枠として積極的に採用する企業が増えています。既卒だからといって諦める必要はまったくありません。既卒でも、しっかりとした自己分析、企業分析と面接対策を行うことで希望する企業へ就職できる可能性は十分にあります。この情報を活かして、納得のいく内定、就職になるような就活に少しでも活かしていただければと思います。