<海外と日本の就活の違い part 2>
前回は日本と海外それぞれの就活の特徴や各国の就活事情などについて紹介しました。今回は、前回の中で取り上げた日本と海外の違いで「日本は終身雇用がまだあり、転職がしづらい」というのがありました。現在の日本は転職をしている方が増加しているのにも関わらず、なぜしずらいと言われているのかや「入社して3年は働いてからでないと転職って厳しい」「すぐに転職をしない方がいい」と言われているのは終身雇用制度が企業に取り入れられていたことがあることが考えられます。
今回は終身雇用についてやそれがどのように影響しているのか、転職のしやすさの実態について解説していきます。
【終身雇用とは】
終身雇用とは、企業の正規雇用社員を定年まで雇用し続けることです。特徴としては、雇用の安定性が高いということが挙げられます。入社することができれば、定年まで勤めることができます。また、年功序列制と密接に関連しており、給与や昇進は、勤続年数に応じて決定される傾向があります。
【終身雇用のメリットデメリット】
<メリット(従業員)>
・安定した収入と雇用
→終身雇用制度が機能すると、入社から定年まで安定した給与と雇用を得られるという保証が与えられます。
<デメリット(従業員)>
・向上心の低下、モチベーションが上がりにくい
→安定した雇用が保証されるため、自己成長やスキルアップへの意欲が低下することがあります。また、成果を出していなくても年齢や勤続年数が長いことで評価され、給与や役職が上がっていくので実力があってもそれに伴った評価が得られずに意欲が下がってしまうこともあります。
・若手社員の処遇
→年功序列により、勤続年数が長い社員の処遇や賃金が高くなる一方で、若手社員の処遇が低くなる傾向があります。
<メリット(企業)>
・時間をかけた人材育成
→従業員が長期的に在籍するため、人材育成にしっかりと時間をかけて取り組めます。細かな研修や教育プログラムを提供できることによって、従業員のスキルや能力が高まり、企業の競争力も向上します。
・人材の確保
→終身雇用制度によって帰属意識や忠誠心が芽生え、長く企業に在籍する従業員が増えれば、離職率が下がります。これにより、十分な人材を確保できるため、安定した体制で企業活動が実施できます。
<デメリット(企業)>
・人件費の高騰
→年功序列とともに運用するため、企業は従業員の年齢が上がるにつれて給与を多く支払う状況になります。なので、従業員の能力や経験に関係なく、人件費が高騰してしまいやすいです。
【現在の日本の若年層が求める働き方】
現在の日本の若年層、特にZ世代は、働き方に対して以下のような価値観や希望を持っている傾向が強いです。
1、仕事よりもプライベートを重視
仕事よりもプライベートを重視する傾向が強まっています。自分の時間や趣味、家族との時間を大切にする価値観が広がっています。
エン転職の調査によると、20代の「仕事に求めること」第1位は「プライベートを大切に働ける」というものでした。
この結果からも、現在の若者は仕事よりもプライベートに重きを置く人が増えてきているということがわかります。
2、残業はしたくない
以前の日本は「長い残業こそ美徳」とされていましたが、今の若者は「少しでも早く家に帰り、プライベートを充実させたい」「定められた勤務時間内で、最大限の成果を出すのがよい」という認識の人が多いです。
3、キャリアの重視
自分の能力を磨き、キャリアを切り開く意識が高まっています。大企業神話の崩壊やグローバル化の影響で、自分のスキルを高めることが重要視されてきています。
これまでよりも仕事ではなくプライベートを充実させることを重視するという考え方の変化や仕事の効率・キャリアアップを目指す動きが近年増加しているという傾向があります。
【終身雇用制度の今後の展望】
終身雇用制度は、現代の経済環境や若年層の価値観の変化に対応するために、柔軟なアプローチが必要とされています。しかし、雇用の安定性や人材育成の面でのメリットが存在するため、完全に消え去ることはないと考えられます。未来の終身雇用制度は、柔軟性と競争力を兼ね備えた形に進化していくことが考えられます。
【まとめ】
「入社して3年は働いてからでないと転職って厳しい」というどこからか言われているのは終身雇用制度というものが少し影響を与えている可能性があると言えるのではないでしょうか。
このような制度がまだ取り入れられている企業があるということを頭の片隅にいれて、この制度のメリットデメリットとそうでない時のメリットデメリットを比べてご自身に合う傾向に強い会社を選んでみてください。